パートナーの浮気疑惑に対して「これはクロだ!」と確証したとき。
同時に考えなければならないのが、離婚をするのか再構築か……です。子供の有無や年齢、仕事の状況など自分を取り巻く環境と照らし合わせて、どちらを選ぶのが現実的なのかを判断する必要があります。
離婚の意思を固めるのに重要なのが、慰謝料の金額ではないでしょうか。
離婚後に新たな生活を始めるにあたって手に取るお金は多いに越したことはありませんが、相場はいくらなのか、より多くの金額を手にするにはどうすれば良いのか、まるで見当がつかないですよね。
ここでは、慰謝料について詳しく解説していくことにします。
慰謝料は法律で認められた立派な損害賠償
慰謝料とは、精神的な苦痛に対する賠償のことを指します。お金を支払うのは浮気した側。受け取るのは浮気をされた側です。
稀に「慰謝料は女性が男性からもらうもの」「妻の浮気が原因で離婚になっても、夫に慰謝料を支払わなくてもよい。むしろ慰謝料をもらえる。だって私、女だし」などと激しく勘違いしている人がいるようですね。
かつて2chに降臨した伝説の92があまりにも有名ですが、女性だから何をしても免除されるわけではありません。妻が浮気したら、妻=女性側が慰謝料を支払う側になります。当然ですが、念のため。
さて、結婚している身でありながら、配偶者以外と継続して肉体関係を持つことを不貞行為と言いますが、この不貞行為は民法第709条の「不法行為」に含まれます。さらに、浮気した側とその相手に慰謝料を請求することは「不法行為に基づく損害賠償請求」として法律でもきちんと認められています。
第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
例えば、妻が浮気をしていた場合。
浮気された夫は、妻の浮気によって配偶者としての権利を侵害されただけでなく、心にも大きなダメージを受けます。浮気した妻は、不貞行為の被害者である夫に対して「損害を賠償する責任がある」ということですね。
また、浮気や不倫は相手があってのことなので、この場合、妻の浮気相手も「妻と共同で不正行為をはたらいた」として共同不法行為の責任を負うことになります。
すべての浮気で慰謝料が請求できるわけではない
婚姻関係にあるパートナーが浮気をしたら、浮気された側は誰でもどんな状況でも相手に慰謝料が請求できるのか?といえば、そうではありません。浮気や不倫で慰謝料が請求するためには、それなりの証拠を揃えておいたほうがスムーズにことが運びます。
慰謝料請求に必要な3条件
浮気相手と肉体関係を示す証拠がある
パートナーの浮気をクロ断定する時点で、浮気の証拠はある程度揃っていると思いますが、言い逃れができない証拠はやはり、ラブホへの出入りや性行為の写真、動画。つまり、肉体関係を持っているとみなされるもの。証拠として有効なものは、下記のとおりです。
- ラブホテルへの出入りや性行為の写真&動画
- 肉体関係がある&あったと推測できるメールやLINE、SNSのログ
- パートナーが浮気の詳細を自白した音声や録画データ
- ラブホテルのスタンプカードや領収証
浮気が原因で夫婦関係が破綻したことが立証できる
「浮気をされるまで、夫婦仲は普通だったし家庭もうまくいっていた」との証拠も揃えておきたいものです。
夫婦関係が破たんしていなかった証拠と言われても「何それ?」と思うかも知れませんが、夫婦が同居している&生活している事実を示せば問題ありません。レシートや写真、日記、家計簿など普段の生活の記録さえあれば、夫婦として家族として暮らしている証明になります。
中でも日記は有効で、パートナーの行動の変化が記載されていたりすると尚良し!浮気前後の違いをより明確に伝えられます。
浮気の慰謝料請求の時効が成立していない
浮気の慰謝料請求には時効があります。
民法第724条
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。
不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
パートナーの浮気の事実を認識し相手を特定してから3年、あるいはパートナーが浮気をしてから20年経過してしまうと慰謝料が請求できなくなります。
慰謝料が請求できないケース
婚姻関係破綻後に浮気が始まった
夫婦関係がすでに破たんしている状態で、浮気相手との交際がスタートしている場合は、慰謝料が請求できません
どのような状態が「破たん」と認められるのかというと、パートナーが浮気する前から、夫婦間でたびたび離婚の話が出ていたり、正当な理由がない別居や家庭内別居などがそれに該当します。
一口に別居といっても、単身赴任はよくある話ですし、子供の進学問題で一時的に別居というのも珍しくありません。また、入院や療養が理由での別居というのもあるでしょう。こういった然るべき理由がないにも関わらず別居していると、夫婦関係が破たんしていると判断されます。
また、同居はしているものの家庭内で別居状態というのもありますね。生活費も完全に各自が負担していて、部屋も別、食事ももちろん別々でお互いにまったく顔を合わせないような状態です。
パートナーが独身と偽って浮気をしていた
パートナーが浮気相手に「既婚者であること」を隠したり、騙して交際を迫るケースも多いと思います。パートナーのことを独身と疑わずに肉体関係を持っていたとしたら、相手もある意味パートナーの被害者。この場合、相手への慰謝料請求は非常に困難です。
ただし、会社の同僚だったり、常に薬指に結婚指輪をはめているなど、一般的に考えれば「この人は結婚しているんだな」と気付くような場合は、相手の過失にあたるので慰謝料が請求できます。
慰謝料相場と算出時に考慮される事情
慰謝料の金額は当事者の事情などにも左右されますが、一般的には100万円~300万円程度に落ち着くことがほとんど。芸能人の離婚ともなると高額な慰謝料で世間を賑わせることもありますが、この場合は財産分与を含んだ金額の可能性大です。
また、いくらパートナーが高所得者であっても、例えば裁判で争った場合は相場を基準として算出するので、桁外れの金額になることはないでしょう。
慰謝料の金額を算出する際に考慮されるのは、下記のとおりです。
- 婚姻期間の長さ
- 浮気&不倫期間の長さ
- 子供への影響度
- 子供の人数
- 浮気前の夫婦関係
- 過去の浮気誓約書を反故にしている
- 浮気が決定的な理由となり離婚する
- パートナーや浮気相手の収入&資産、社会的地位
中でも、婚姻期間の長さは慰謝料算定の大きなポイントになります。千葉県弁護士会が出版している「慰謝料算定の実務<第2版>」では、婚姻期間の長さと慰謝料の比例が分かりやすく解説されています。
浮気相手が無収入&低収入だとどうなる?
パートナーの浮気相手が無職だったり、収入が少ないケースもあります。
「お金がないので、そんな大金はお支払いできません」と言い訳をされた場合は、給与明細書や確定申告書などを提示してもらって真偽のほどを必ず確認してください。慰謝料の支払いを逃れるため、嘘をついている可能性があります。無収入が事実だと判明したら、浮気相手が就職した際に給料を差し押さえられるよう公正証書を作成します。
慰謝料の支払額も、一括ではなく分割払いにしたり、1ヶ月に支払う金額を減らすなどの対応も取れますし、事情を知った相手の両親が立替払いをすることも珍しくありません。
自分が蒔いた種。慰謝料支払いと収入の有無は無関係であると説得をして、しっかりと義務を果たしてもらうようにしたいものですね。
慰謝料を軍資金として新しい人生を!
最近は既婚でありながら、恋人やセフレがいる人は珍しくないと言います。ひと昔前は、浮気といえば夫とのイメージが強かったのですが、今では妻の浮気に悩む夫も多い時代。
浮気や不倫を婚外恋愛といえば、カジュアルだし聞こえは良いかも知れませんが、法律に照らし合わせてみれば立派な不法行為です。愛するパートナーからの裏切り行為によって辛く悲しい思いをした分、相手に同情することなく鬼になりましょう。
慰謝料はきっちりと受け取って、新しい人生を歩みたいものですね!