浮気&不倫は甲斐性じゃなく違法!徹底制裁するための法律を学ぶ

浮気&不倫は甲斐性じゃなく違法!徹底制裁するための法律を学ぶ

結婚する際は「婚姻届書」を出して法的手続きを取るわけですし、婚姻関係を壊す原因ともなりかねない浮気や不倫は法律違反じゃないの?と疑問に感じている人は多いのではないでしょうか。今回は、浮気と法律の関係について解説していきたいと思います。

浮気&不倫は民法で裁かれる立派な違法行為

浮気は配偶者に対する大きな裏切りですよね!

前述したように、浮気は婚姻関係を破たんさせる原因になるため、破たんさせた側(浮気をした側)は民法で裁かれます。とはいえ、民法に「浮気」や「不倫」の言葉はなく、どの法律にも「結婚したら不倫はダメですよ」と明記がされているわけではありません。

話が逸れますが、民法と刑法の違いは何?という人のために少し説明をしておくと、刑法は刑事事件に適用される法律のこと。国が定めた社会生活での禁止事項を犯すと警察などにより強制されるもので、刑事罰が科せられます。一方で民法は個人対個人の紛争に関する法律で、こちらには警察は関与しません。

民法で裁かれるので罪にはなりませんが、お金を支払う責任が発生します。お金を支払う=慰謝料です。

夫婦には貞操義務がある!

結婚をすると、夫婦間には様々な義務が発生するわけですが、その中のひとつに「貞操義務」があります。

(同居、協力及び扶助の義務)
第752条
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

民法第752条がそれに該当しますが、「貞操義務」の言葉はどこにも見当たりませんよね。

明記こそないものの、夫婦間の基本的な義務として貞操義務もあると解釈されていて、貞操義務違反(姦通、不貞行為)は離婚原因にもなり、不法行為とされています。どちらか一方が不貞行為をした場合には離婚理由になるとされていて、パートナーの不貞行為が認められると、不法行為として損害賠償を求めることができます。

夫婦間ですから、夫が不倫しようが妻が不倫しようが、された側は慰謝料を支払うということですね。「浮気は男の甲斐性」だから許されるなんて解釈はどこにもありません。

不貞行為(浮気や不倫)があれば離婚可能

また、民法第770条第1項には「配偶者に不貞な行為があったとき」離婚の訴えを提起できる、とあります。

(裁判上の離婚)
第770条
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

上記から考えても、夫婦間での不貞行為が禁止されているということが分かると思います。

民法上で浮気&不倫になるもの、ならないもの

それでは、具体的にはどこからが浮気や不倫と判断されるのでしょうか。
あくまでも自由意思に基づくことが大前提ですが、例えば、下記はいずれも民法上で不貞行為とはなりません。

  • 高級レストランで食事をした
  • 手をつないだ
  • キスやハグをした
  • ドライブをした
  • 誕生日などの記念日にプレゼントを贈った
  • 出会い系サイトやマッチングアプリで出会いを探した
  • LINEやメールで「好き」「愛してる」などと送った
  • FacebookなどSNSで親密なやり取りをしている
  • お互いの裸の写真を送り合った

民法における不貞行為は、性行為を指します。

「キスなんて浮気じゃないの?」「結婚してるのにマッチングアプリを使っているのは、浮気する気まんまんとしか言いようがない!」と憤慨している人もいるかと思いますが、性行為がなければ不貞行為とはならないようですね……。

さらに、1度きりの性行為だと「酔った勢い」「その場のノリで」といった具合に過ちと処理され、不貞行為とされないことが多いのだとか。重要なのは「同一の異性と継続した性行為」というわけです。余談ですが、同性愛も不貞とはならないそうです。

ちなみに、オーラルセックスの場合は、性行為に近いこと&性行為が推測できる行為という点から、不貞行為として認められるケースがあります。

無理やりレイプされたり、脅迫されての肉体関係は、自由意思に基づくものではないので、不貞行為とはなりません。また、夫婦関係が破たんした後での不貞行為は、「不貞行為そのものが離婚理由にあたらない」ということで民法上では不倫に該当しません。

夫婦関係の破たんってどんな状態を指すの?

民法第752条にあるように、夫婦は同居してお互いに協力をする義務があるのですが、「夫婦関係の破たん」とは双方努力をしてもまったく回復見込みがない状態を言います。

婚姻を継続しがたい重大な事由としては

  • 継続的で執拗なDV
  • 毎日のようにモラハラ
  • 1年以上の家庭内別居
  • 5年程度の完全別居&没交渉
  • 浪費、借金癖、働かない、お金を入れない
  • 性格の不一致、性の不一致
  • 親族との不和
  • 過度な宗教活動をしている


が挙げられます。

浮気をした夫や妻は「夫婦関係はすでに破たんしていたから不貞行為にあたらない」と主張することが多いのですが、裁判官は夫婦の主張や印象だけで判断することはなく、破たんを客観的に判断するだけの証拠が必要になります。

証拠もなくその場しのぎで主張をしても、受け入れられることはありません。

一緒に食事をしたり、夫婦揃って家族旅行や冠婚葬祭に出掛ける、風邪など病院の際にどちらかが看病している、性交渉……などの事実があれば、普通に考えても夫婦関係は破たんしているとは言えませんし、離婚の話し合いをした記録すらなければ「不貞行為と判断されないための言い逃れ」にしかならないですからね。

不貞行為には慰謝料を支払う責任がある

上記で説明をしたように、不貞行為は民法上では立派な違法行為です。

刑事罰があるわけではないのですが、民事責任が発生します。浮気や不倫をされた側は、配偶者の権利を侵害されたとして、民法第709条を根拠に「不法行為による損害賠償」の請求が可能です。また、民法第710条では、財産以外の損害に対しても、賠償を負うことを定めています。

お金=慰謝料支払いの責任というわけですね。

(不法行為による損害賠償)
第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)
第710条
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

浮気&不倫の慰謝料は3年で時効に

不貞行為での慰謝料請求には時効があります。

(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)

第724条
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

3年で時効の解釈についてですが、「3年前に浮気した。もう3年以上経ったけどパートナーは何も言わなかったし、この件はセーフ!」という話ではなく、婚姻生活が続いている限りは、時効のカウントダウンがなされません。下記の民法醍59条を参照ください。

ただし、パートナーの浮気相手に関しては、民法第724条3年で時効が成立するので要注意です。

第159条
夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。