DVから逃げるための全手順!準備から法的手続きまでを徹底解説

  • 2018.07.20
  • DV
DVから逃げるための全手順!準備から法的手続きまでを徹底解説

DVはエスカレートします。いつか身の危険を感じるほどの暴力に発展する可能性があります。パートナーの暴力に怯え続ける日々はもう終わり!DVから逃げて、自分らしい生活を取り戻しましょう!

夫や妻に受けているDVの証拠をまとめる

「夫や妻からDVを受けている」と自覚をしたら、まずは証拠を集めることから始めましょう。

最近では、DVをでっちあげて離婚や慰謝料を要求するケースもあるので、第三者が納得できるような証拠が揃っていると、後々スムーズに手続きが進みます。

  • 暴力を受けたら、怪我の写真を撮る。複数枚あるとベスト。
  • 即病院に行って医師にDVを受けたことを説明し、診断書を作成してもらう。
  • 部屋が荒れていたり家具や食器が壊されたら、その写真も撮影をしておく。
  • ICレコーダーやスマホで暴言や暴力の音声を録音しておく。
  • 相手から言われたことやされたことすべて、思い出せる範囲で日記に書いておく。

怪我の写真についてですが、できるだけあなたの顔と怪我をした部分が一緒に写るようにしてください。あなたの怪我だと証明できる形で撮影しておかないと「それは友人の写真」などと言い逃れされる可能性もあります。

DVの音声を録音する場合、室内などにこっそりとICレコーダーを仕込むことになると思いますが、仕込んだことがパートナーにバレると逆上しかねないので、無理をしないよう気を付けましょう。

相手からのDV行為を日記などに記しておくと、保護命令申立書を作成する際に便利なのでおすすめです。

公的機関にDVの相談をする

パートナーから受けているDVを一人で抱え込むのではなく、利用できるサービスはすべて利用するのがおすすめ。後述する保護命令の申立書を出すためにも、警察や配偶者暴力相談支援センターにDVの相談をしておきましょう。

配偶者暴力相談支援センターを頼る

内閣府のDV相談ナビに電話かけると、最寄りの配偶者暴力相談支援センター(もしくは、配偶者暴力相談支援センターの機能を持つ施設)に繋がります。センターごとに電話受付時間が決まっていますが、ほとんどが平日の9:00~17:00、中には平日の夜や土日祝日にも受け付けているところもあります。

DV相談はもちろん、DVシェルターの手配、離婚&離婚後の生活、カウンセリングなど、多岐に渡って相談にのってもらえます。

警察署(生活安全課など)に相談をする

身体的暴力の際には、警察署に頼るのがおすすめ。「DVの相談をしたい」といえば親身に話を聞いてくれますが、交番より大きい警察署のほうがDV対応に慣れている分、安心&スムーズです。

暴力が酷ければ、被害届を出すのも良いでしょう。離婚の際には有利になります。シェルターとも連携しているので、手配はもちろん送り届けてもくれますよ。また、DVパートナーが実家を襲撃する可能性があれば、その旨を伝えておくことで守る努力をしてくれます。

逃げる際に持ちだすもの

身の危険にさらされてまで、我慢して結婚生活を続ける必要はありません。下記に、家を出る際に持ちだすべきものをまとめました。

非常持ち出しリスト

  • DVの証拠一式(日記、写真、診断書、ICレコーダーなど)
  • 預貯金通帳&カード
  • 通帳用印鑑
  • 実印&印鑑登録書(あれば)
  • 保険証、母子手帳
  • 年金手帳
  • マイナンバーカード
  • パスポートや運転免許証等の身分証
  • 自分のパソコン、スマホ(充電器も)
  • 常備薬
  • 現金など貴重品
  • 財産目録

DV行為を働くパートナーから逃げるのは別居を意味しますし、2度と家には戻らずに離婚手続きに入る可能性もあります。必要なものは、できるだけ持ち出せるようにしておきましょう。

逃げる場所はどうするのか

DVシェルターで一時的に保護をしてもらう

DVシェルターはDV被害者のための保護施設のことです。場所など一切非公開のため、DVパートナーからは完全に身を隠すことができます。身を寄せられる期間は、大体2週間程度。転居先や仕事探しなどの問題もあり、1ヶ月ほど避難している人もいるようですね。

DVパートナーと連絡を取ったりすることがないようシェルター内はインターネット禁止ですし、悠々自適&快適生活とは言い難いのですが、安全に避難できる場所です。

両親や兄弟姉妹、友達を頼る

避難場所を考える際、真っ先に思いつくのは両親や兄弟姉妹の家に避難をすることですが、実家などに避難をした場合、DVパートナーが他の家族や友達を巻き添えにする可能性もあります。

相手が襲撃してくる可能性が高い場合は特に、シェルターを選択したおいたほうが安全です。保護命令が発令された後、自分の生活を立て直すまで実家や兄弟姉妹を頼ったほうが良いでしょう。

DVパートナーを遠ざける手続きをする

シェルター避難はあくまでも一時的なもの。それに、自分が悪いことをしているわけでもないのに、いつまでも逃げているなんて、何だか釈然としませんよね。次は、DVパートナーが2度と自分に被害を与えることがないよう、完全に遠ざけるための手続きを行います。

保護命令制度の活用

配偶者の暴力を防ぐための制度に「保護命令」というものがあります。簡単に言えば、裁判所がパートナーに対して「あなた(被害者)に近寄ってはならない!」と命令を出す……というものです。

どんな命令が出されるのか、簡単に説明しておきますね。

接近禁止命令
被害者の住居、勤務先などを徘徊したり、身辺につきまとうことを6ヶ月間禁止する。

退去命令
2ヶ月間、被害者と生活していた住居から退去すること&その付近で徘徊しないこと。

電話等禁止命令
被害者に対して、6ヶ月間は電話やメール、FAXを送信してはいけない。
被害者に対して、6ヶ月間は面会要求や乱暴な行動、監視していると告げること、不快と思わせるものを送付してはいけない。

子供への接近禁止命令
子供の学校などを徘徊したり、身辺につきまとうことを6ヶ月間禁止する。
ただし、子供が15歳以上の場合は、子供の同意があればOK。

親族等への接近禁止命令
被害者親族の住居、勤務先などを徘徊したり、身辺につきまとうことを6ヶ月間禁止する。

6ヶ月間は、あなた(被害者)と子供、親族のまわりに近寄ってはいけないし、電話やメール、FAXでの連絡もするな!という話になります。万一、DVパートナーが保護命令に違反した際には、刑事罰(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)が下されます。

ちなみに、保護命令は妻が夫に暴力を受けているケースはもちろん、その逆で夫が妻に暴力を受けていても適用されます。暴力のみを対象とした法律なので、モラハラや性的暴力、経済的暴力で発令されることはありません。この辺はちょっと残念ですね。

保護命令の申請について

保護命令制度を利用するには、地方裁判所に申立書を提出する必要がありますが、事前に配偶者暴力相談支援センターか警察署でDVについて相談してあることが大前提となります。相談していない場合は、公証人役場にて暴力を受けた事実を記載して、それが真実であることを公証人の前で宣誓して作成した宣誓供述書を申立書に添付します。

シェルターに避難している場合は、相談員が手続きのサポートをしてくれるので、指示通りに進めるだけでOKですよ!

ちなみに、申立書に必要なものは下記のとおりです。

  • 1,000円分の収入印紙と2,500円分の切手代
  • 戸籍謄本や住民票など婚姻関係にあることを証明するもの
  • 診断書や写真、陳述書など暴力を証明できるもの
  • 今後暴力を受けて生命や身体に危害を加えられる恐れが大きいことを証明する資料
  • 子供の同意書&本人が署名したと確認できる学校のテスト用紙など(子への接近禁止命令用)
  • 親族の同意書&本人が署名したと確認できる手紙やパスポート署名など(親族への接近禁止命令用)
  • 親族の戸籍謄本や住民票、接近禁止命令の必要性を記載した陳述書など(親族への接近禁止命令用)

申立書を提出する前日に、提出先の地方裁判所に電話をしておくと、当日の待ち時間は少なくなります。

その後、裁判官があなたと面談して、DVの詳細など事情を聞かれます。面談から1週間後くらいにDV加害者であるパートナーの弁解の機会が設けられ話を聞きますが、そこにあなたが立ち会う必要ありません。あなたとパートナーの両方から話を聞いた上で、保護命令を出すかどうかを決定します。

申立書の提出から保護命令が出されるまでの期間は、内容によって異なるのですが、裁判所では優先度高く対応をしてくれるので安心してください。目安としては、早ければ1週間~遅くて3週間程度です。

保護命令発令後、パートナーの違反行為があったら

保護命令違反は、立派な犯罪!警察に通報をしてください。場合によっては、逮捕に至ることもあり得ます。