スマホロック解除や覗き見etc…浮気調査の証拠集めは法律違反?

スマホロック解除や覗き見etc…浮気調査の証拠集めは法律違反?

いくら夫婦間といえ、浮気調査のためだとしても、パートナーに無断でスマホのロックを解除して、LINEやメールを覗き見することは、法律違反にならないのでしょうか?

他人のスマホを勝手に見ると一口に言っても、アクションは様々です。

  1. スマホのロックを解除すること
  2. キャリアメールやショートメッセージを読むこと
  3. LINEを読むこと
  4. ログインが必要なサービスやアプリにアクセスすること

1つずつ整理をして見ていきましょう。

スマホのロック解除は法律違反なのか

覗き見の最初のステップとなるのが、スマホのロック解除です。

ここで考えられるのは「ロック解除は、不正アクセスになるのかどうか?」ですよね。まずは、不正アクセス禁止法がどんな法律なのかを見てみましょう。

そもそも不正アクセスとは、ネットワーク経由のアクセスを前提としています。

スマホのロックは、言ってみればスイッチのようなもの。

パスワード入力もパートナーの指をこっそり借りて指紋認証をする場合でも、ネットワークを介してアクセスするわけではありませんし、無断でロックを解除したからといっても不正アクセス禁止法にはあたりません。

メールやLINE、SNSの覗き見は法律違反なのか

スマホのロック解除は、不正アクセス禁止法に反する行為ではない、ということは分かりました。それでは、メールやLINEのメッセージ、FacebookなどのSNSを覗き見することはどうなのでしょうか。

前述したように、不正アクセスとはネットワークを介してのアクセスかどうかが重要になります。

メールの場合、すでに保存されているメールを見るのか、ネット上に保存をされているメールを見に行くのとでは話が変わってきます。GmailやYahoo!メールなど、IDとパスワードでログインをして、ネット上にある送受信メールを覗き見する行為は、不正アクセス禁止法違反となります。

自動ログインには要注意

例えば、スマホにGmailのアプリを入れている場合。

都度、IDとパスワードを入力するのは面倒なので、タップだけで自動的にログインするように設定している人も多いのではないかと思います。自動ログイン設定されたアプリなら、スマホのロックさえ解除できれば、あとは簡単に覗き見できてしまうので、浮気の証拠集めとしてはこれほど楽なことはありませんよね。

でも、ちょっと待って。この場合、不正アクセス禁止法違反ではないのでしょうか?

他人のIDとパスワードを入力していないし、アイコンをタップしたら勝手に繋がっただけだから、法律違反じゃないのでは?と思うかもしれませんが、それは大間違い。不正アクセス禁止法は「IDとパスワードを入力してログインする行為」が禁止されているのではなく、ネットワークを介して勝手に他人のIDやパスワード情報を送信すること自体、不正アクセスとみなされるのです。

自動ログイン設定がされている場合、起動をした時点でIDとパスワード情報がサーバに送信されます。IDとパスワードを入力したのと同じ状態になっているというわけですね。

よって、自動ログインであろうがなかろうが、IDとパスワードが送信されてサーバにアクセスしたという事実が、法律違反ということになるので注意が必要です。

LINEの場合はどうなの?

LINEも同様に、オンライン状態でアイコンをタップすると、自動的にログインします。

ということは、オンライン状態でLINEのトークを閲覧する行為は「ネットワークを介して、勝手に他人のIDやパスワード情報を送信した」とみなされるので、不正アクセス禁止法に抵触します。

それなら、自動ログインできない状態で、トークを覗き見するのはどうでしょうか?

スマホを「機内モード」に設定すれば、オフライン状態になります。
データ通信ができない=ネットワークを介さない状態となるので、これでLINEを起動すれば、すでに保存されているトークを閲覧することができ、不正アクセス禁止法にはあたらないと言えるでしょう。

勝手にメールを見るのは信書開封罪?

もう1つ「勝手にメールを見る!」ということで考えられる法律に「信書開封罪」というものがあります。

信書開封罪とは、正当な理由がないにも関わらず、封をされている文書を開封する罪なのですが、メールの場合は開封という行為がないので、現在のところ、これは当てはまりません。

どの行為もプライバシーの侵害には該当します

スマホのロック解除と覗き見について、現行の法律に照らし合わせて合法なのか法律違反にあたるのかを解説してきました。ネットワークを経由しなければ、不正アクセス禁止法に該当しないということは分かりましたが、もう1つ気を付けなければならないのは「プライバシーの侵害」です。

プライバシーの権利
プライバシーの権利とは、憲法13条を根拠として認められる新しい人権の1つを意味する。もともと19世紀末のアメリカにおいて、報道機関による私生活の暴露に対抗する私法上の権利として「ひ...
 弁護士ドットコム

「プライバシーの侵害」という言葉は良く耳にしますよね。

そもそも、スマホの中身がプライバシーの固まりのようなものなので、ロック解除だろうがメールやLINEの盗み見だろうが、プライバシーの侵害にあたるんじゃないの?という疑問が湧いてくると思います。

現状の刑法では、夫婦間でのスマホの盗み見についての規定が存在しません。

手紙を勝手に開封すると、前述の「信書開封罪」に問われる可能性はありますが、メールやLINEなどはこれに該当しません。なにそろ、紙ではないですし「封」もないですもんね。

では、プライバシー侵害したって問題ないんじゃ?と思うかもしれませんが、刑法では夫婦間のスマホの盗み見の規定がないだけで、民法の規定ではプライバシーの侵害による損害に対して、被害者は損害賠償請求を起こすことが可能なのでリスクはあります。

ただし、覗き見によって浮気が確定した場合は、不法行為として裁判所から責任を追及されることは考えにくいと言えます。