「モラハラ」とは「モラルハラスメント」の略称。モラル(倫理や道徳)に反する嫌がらせのことで、言葉や態度で人を傷つけることを指します。
芸能界でも度々モラハラ騒動があるので、言葉自体は耳にしたことがある人が多いと思います。でも、モラハラがDVの一種であることや具体的にどんな行為なのかご存じですか?中には、自分が夫からモラハラ行為を受けていることすら認識していない場合もあることでしょう。
ここでは、どんな状態をモラハラと呼ぶのか、詳しく解説していきます。
モラハラと亭主関白は似て非なるもの
モラハラって、亭主関白みたいなものじゃないの?と思う人もいるかも知れませんよね。実際に、モラハラ行為をしている側もされている側も「亭主関白」と思い込んでいる節もあるようです。
まあ確かに「メシ!お茶!風呂!寝る!」などふんぞり返って偉そうにしている様は似ているといえばそうなのですが、実は全然違います。
亭主関白
- 家族の幸せを願って威張っている
- 相手を苦しめようとは思っていない
- ぶっきらぼうだけど人情派&家族思い
モラハラ夫
- 妻を傷つけるために威張っている
- 自分のことしか考えていない
- 自分のミスも人のせいにする
亭主関白の「威張っている」は、家庭を守るため&家族みんなの幸せを願って……が根底にあります。
サザエさんの波平さんをイメージすると分かりやすいですよね。理不尽に妻や子供を怒鳴り散らしたりしませんし、ちょっと不器用だけどフネさんに感謝したり謝ったり甘えたり、かわいいところもあります。
一方でモラハラ夫の「威張っている」は、常に自分が一番でありたいし優位に立っていたいという理由があるだけ
自分のために威張り散らすだけでなく、自分のミスでさえも妻に押し付ける有様です。とにかく、自分のことだけしか考えていないわけですから、亭主関白とモラハラが同じなんて言ったら、世の亭主関白のお父さんたちに申し訳ないくらいです。モラハラは、単なる精神的DVなのですから。
あなたの夫は大丈夫?モラハラ夫の8つの特長
モラハラ夫の最大の特長は、外面の良さ。家庭の中では真逆で、不満タラタラ&グチグチでいつも不機嫌です。毎日のように言葉や態度で妻を攻め続け、精神的に追い込んでいきます。ここでは、モラハラ夫の特長を挙げていくことにしましょう。
妻のミスが大好物
妻がちょっとしたミスをしようものなら、「なんでそんなことを間違えるの?」「普通に考えたら分かるよね?」「バカじゃないの?」などとネチネチ攻撃します。とにかく、妻のミスが大好物で「早くミスしないかな」とばかりに粗探しを続けるのです。
自分のミスは他人のせい
モラハラ夫は、自分がミスをしても他人に責任転嫁します。自分が100%悪いとしても「俺はいつも正しい」「間違っているとしたら周囲が悪いからだ」と意味不明の言い訳を続けます。もちろん、モラハラ夫の辞書に「謝罪」の2文字はないので、自分の非を認めることはあり得ません。
とにかく妻を否定する
妻を否定することしか考えないのがモラハラ夫。何をやっても怒るし、やらなかったら怒る。聞けば怒るし、聞かなかったら「なぜ最初に聞かないんだ!」と怒ります。妻が謝ればますますふんぞり返って「謝って済むなら警察はいらないよ」などと偉そうです。
共感力に欠けている
「自分はいつも正しい」と考えているせいか、妻の気持ちに寄り添うことは一切ありません。例えば、妻が忙しさのあまり病気になったとしても、労うどころか「体調管理ができないからだ」と罵ります。他人に共感することはなく、それに気付こうともしないので、尽くし甲斐もありません。
平気で嘘をつく
モラハラ夫は平気で嘘を言いふらして、妻を貶め自分の評価を高めようと努力します。家の外では「穏やかで感じの良い人」で通っているため、周囲の人もモラハラ夫の嘘を信じてしまい「奥さん酷いね!」「モラ夫さん可哀相!」などと言われることで優越感に浸ります。
家の中で暴れる
モラハラ夫が、モラハラの限りを尽くすのは家の中だけ。家の玄関とモラハラのスイッチが連動しているかのように、外で機嫌良くニコニコしていたとしても、家に帰るなり暴言を吐きます。そのため、妻は夫のモラハラを「自分が悪いのではないか?」と考えてしまうようになります。
嫉妬が激しい
モラハラ夫は妻を支配したいとの思いが強いため、嫉妬や束縛も相当なものです。そのため、妻を外で働かせることは少なく、常に自分の監視下に置いておこうとします。場合によっては盗聴器を仕掛けるなど、会話内容や人間関係などすべてを把握して束縛をしていきます。
自分ルールが存在する
「自分が正しい」と思い込んでいるので、自分が考えたルールを家族全員に強要します。「そんなルールはおかしい!」と思っていても、当の本人はそれが当たり前で常識だと認識しているのが厄介。妻がルールの間違いを指摘しようものなら、たちまち激昂して大変なことになります。
いかがですか?
「あれ?全部うちの旦那に当てはまる……」なんてあなたは、立派なDV被害者。モラハラ=精神的暴力によって、夫に洗脳をされている状態です。
モラハラ夫の行動はすべて「自分に自信が持てない」のが根底にあります。一見、プライドが高く自信家に見えるのですが、そうではありません。自分に存在価値が分からないから、妻を貶めたり嘘をついたり、あらゆる手段で相手よりも優位に立とうとするのです。
モラハラの原因は幼少期の家庭環境にあった
今でこそ、モラハラの限りを尽くしている夫ですが、当然ながら生まれつき「モラハラ」だったわけではありません。幼少期の家庭環境だったり、両親の歪な愛情を受けることで、モラハラの下地が作られていきました。
親からモラハラを受けていた
子供のころに親からモラハラを受けていると、高い確率でモラハラをする傾向にあります。父親が母親をぞんざいに扱っていれば、「夫は偉いんだ!妻を奴隷みたいにして良いんだ」というイメージが植えつけられ、モラハラ夫になります。こういうケースでは、自分の両親を尊敬していることも多いのです。
親の過干渉
子供のすることに口を出し過ぎると、子供自身で失敗を繰り返して成長をする機会が失われます。失敗の都度、親から「ほら!言ったとおりにしないから」と責められてしまっては、自分に自信が持てなくなってしまうでしょう。その結果、弱い立場の人間に対してモラハラ行為をすることで、自分の存在価値を証明しようとします。
親が過保護
親が過保護の場合、子供は常に自分が一番であり守られる立場になります。自分優先で考えてくれるので「自分は特別な存在なんだ」と勘違いして、他人を尊重しない人間に育ちます。例えば、子供が何か失敗した際、母親が「お母さんが言ってあげれば良かったね」と庇うので、子供は「そうだよ!僕のせいじゃない」と責任転嫁するようになります。
ネグレクトやDV
幼少期にネグレクトや暴力を受けると、自分を大切にしたり人にやさしくする気持ちが育ちにくいと言われています。自信が持てないので、常に人の顔色を気にしたり、劣等感を抱きやすくなります。常に人の評価を気にするため外面は良くなりますが、根底にある劣等感を解放するためモラハラ行為に及んで心のバランスを保っているようです。
「三つ子の魂百まで」ということわざがあるとおり、子供の頃の家庭環境はその後の人格形成に大きな影響を及ぼすということが良くわかります。考えてみれば、そのように育ってしまった夫自身もある意味被害者ではありますよね。
ただ、夫のモラハラぶりをみて育っているあなたの子供も、このままではモラハラを受け継いでしまう可能性が大いにあります。子供のためを思えば、モラハラの連鎖を断ち切ることが重要。もはや、あなただけが我慢をすれば解決するという問題ではありません。
まずは自分自身が、夫からモラハラを受けている事実を受け止めることが、解決への第一歩に繋がります。
モラハラ夫に振り回される生活を卒業するために
モラハラ夫は、傲慢で威張り散らしていますが、実際にはとてもストレスに弱く豆腐メンタルの傾向にあります。
今まで夫の言動にビクビクしていたあなたが、夫の目を見てきっぱりと自分の意見を言おうものなら、案外びっくりしてフリーズしてしまうものですよ。何しろモラハラ夫は、あなたが泣いたりビクビクしている様子を見て優越感に浸り、調子にのっているだけですから。
ここで、モラハラ被害に遭いやすい人の特長を記載してみます。
- 自分に自信がないので周囲の意見に流される
- 理不尽なことがあっても我慢してしまう
- 嫌われたくないので相手に言い返せない
- 自己評価が低く「私が悪いんだ」と自分を責める
- 依存心が強く「夫がいないとダメ」と思い込む
いかがですか?
モラハラ被害者には、モラハラ夫を増長させてしまうような特長があります。あなたが変わることで、夫のモラハラを跳ね除けられる可能性はあるんですよ。
無茶な要求があった際には毅然とした態度で「それはできない」と言ってみましょう。冷静に、キッパリと発言することが大切です。
モラハラ夫は、普通の人では太刀打ちできないとんでも理論で論破してきますが、それには屈せずに意見を貫き通しましょう。オロオロする姿を見て楽しんでいたモラハラ夫も、あなたの変化を見て「あいつを失いたくない」とばかりに態度を変えるかも知れません。
とはいえ、常識がまるで通用しないのがモラハラ夫なので、ひとりで抱え込まずに内閣府のDV相談ナビや信頼できる第三者への相談も検討してみましょう。両親や友達など周囲に相談の際は、できるだけモラハラ夫よりも立場が上の人がおすすめです。